機能性表示とシステマティックレビュー

システマティックレビューって何?

機能性表示とシステマティックレビュー

機能性表示にはこんな膨大な資料が必要?

来春2015年から、食品表示のルールが大きく変わります。これは、現時点で「機能性表示」と言われている、体の部位への効果を具体的に示すことができる画期的なルールです。今までは申請に大金がかかるトクホや、一部の物質のほんの少しの体への効果しか示せない栄養機能食品しかありませんでしたが、今度の「機能性表示」は免疫強化や、「目にいい」など今までには考えられなかった表現も可能になるのです。

これは今後アメリカとのTPP交渉を見越した日本政府の慮りがなしえる業で、これについては色々意見はあると思いますが、とにかく今まで医薬品以外は効能効果を一切謳ってはならないとした金科玉条の薬事法に割り込んで効能効果を謳うことを認めるルールが採用されることは、まさに画期的と言っていいでしょう。ただ、何のしばりもなく、食品が好き勝手に効能効果を書くことはできません。先ず、治癒ということは書けませんし、一定部位についての効果しか書けません。これは、考えれば当然のことだと思います。何の根拠も試験、分析結果もないままに、誰でも勝手に効能効果を書けるようになったら、それは画期的以上の、滅茶苦茶な世界になってしまいます。

この機能性表示を行えるのは、きちんとした納得のいくデータを提出して承認された食品だけなのです。この提出されるデータのことを システマティックレビューと言い、これは医療の現場で日頃起こる疑問、いわゆるクリニカルクエスチョン (clinical question;CQ)に対して,できるだけ多くの研究を集め,類似した内容を統合し 偏ったり、質の悪い研究結果を排除する評価をしながら分析をまとめたサマリーのことを言います。これらのいわば、「集合知」が十分な量で、何らかの効果などを明示できるものであれば、機能性についての表示を認可してもらえるのですが、あまり研究資料がない場合や、効果についてあまり高いパーセントが出ていない場合などは、認可は得られないということです。

このルールは今後の食品業界に大きな影響を及ぼします。しっかりシステマティックレビューをまとめられるだけのマンパワーと知識を持った大きな企業であれば、様々な可能性が開けるのですが、それだけの余裕のない企業は、今まで通りなんら機能性表示ができないままの商品を販売するしかなく、そこに顧客への訴求力の違いを生んでしまいます。つまり、余力のある大企業の方がよりモノが売れ、中小は売れないという恐れもあるのです。ただ、食品業界や健康食品業界は、特別な資格や知識の集約もない、誰でも参入できる業界でしたが、今後はしっかりとした知識の集約がある企業が生き残れる「知識集約型」産業になっていくという見方をすると面白い業界になっていくだろうとも思えるのです。

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