薬草について – その紆余曲折の歴史

薬草について

多種多様な薬草

人類は古来、植物を様々な目的で利用してきました。中でも怪我の治療や病気の治癒のために利用されたいわゆる「薬草」は興味深いものがあります。中国では中薬、それが日本に伝わり改良された漢方薬、南米の薬用植物、東南アジアの薬用植物、古代ローマでも薬用植物の書が編纂されるなど、世界中でユニークな薬草は作られてきました。これらは、そのまま葉を絞ったり、潰したり、エキスを抽出したり、またこれらを混ぜ合わせたり、様々な手法で作られ、その国や地域で長いもので数千年も重宝されてきたのです。ところが、近代になって西洋医学が台頭すると、それらの薬草に含まれている特定の有効成分だけを抽出、単離し、これだけを使用した医薬品が作られるようになりました。

西洋医学によれば、有効成分だけで作られたものが医薬品であり、夾雑物が混じった自然から採取された薬草は医薬品でないとして扱われることになったのです。これは西洋医学が伝承療法を大きく凌駕する先進国であればあるほど決定的で、それまで医薬品として扱われてきた薬草は、どんどん隅に追いやられることになりました。日本では、それまで医薬品として扱ってきた漢方薬の処遇に苦慮し、結局例外的に医薬品として認めることになりました。但し、日本国外で長年薬草扱いされてきたものに関しては、医薬品としては扱わず、効能効果を認めない単なる食品としてのみ扱ってよいという位置づけになってしまったのです。プロポリスやノニなどもその仲間です。ただ、西洋医学のもと生まれた、化学薬品は薬草などを単離して混ぜ合わせただけでなく、化学的に加工して作った薬品も多く、これらは薬草を使用していたときには起きなかった薬害を引き起こしています。たとえば、抗生物質などは、特定のウィルスに高い効力を発揮しますが、強い分だけ生き残ったウィルスが耐性を持ち、どんな薬も効かない多剤耐性菌を生んでしまったり、効果が絶大な反面副作用によって体に大きなダメージを与えてしまう抗がん剤など枚挙に暇がありません。そのため、直接的な効果は医薬品よりも薄いけれど、穏やかに作用し、副作用も生まない薬用植物を効果的に使用する医師も散見されるようになりました。日本では東洋医学を取り入れた病院がその一種と言えるでしょう。

西洋医学の進歩を否定するつもりは全くありませんが、人類が数千年の時間をかけて培ってきた薬用植物の存在も全否定しないで、状況に応じて両方をうまく使い分ける、柔軟で新しい医療が主流になる時代の到来を望みたいですね。